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就職活動における人事部と学生

福利厚生は何を見るべき?研修制度や保養所は就職先の検討材料になるのか?

煙の出る壺

就活サイトに掲載されている募集要項には、必ず福利厚生という項目が設けられています。とはいえ、学生の皆さんにとって福利厚生は馴染みのない言葉になるため、「何に注目すればよいか?」を把握できていない方が多いかもしれません。そこで今回は、福利厚生を見るときに注意したいポイント、なかでも社会保険研修制度保養所について紹介していきます。

 

社会保険はあって当たり前の制度

福利厚生とは、簡単に説明すると、「給与以外の面で会社が社員に対して提供するサービス」となります。社員の生活を豊かにし、個々のビジネス能力を向上させるために、会社に用意されているサポート制度ともいえるでしょう。

その最たる例が「健康保険」や「厚生年金」などの社会保険です。健康保険は、病気やケガで通院(入院)した際に、医療費の支払いを3割負担にしてくれるもの。厚生年金は、将来、歳をとってリタイアしたときに、毎月の生活費として受け取れる「年金」の一種になります。そのほか、介護保険雇用保険労災保険も社会保険になります。

これらは法定福利に分類される福利厚生であり、どの企業にも必ず用意されているものです。つまり、法律によって義務付けられている制度となります。福利厚生の項目に「健康保険」や「年金保険」といった文字が並んでいるからといって、それが企業の魅力になる訳ではありません。むしろ、用意されていて当たり前の制度であり、これらの制度がない企業は、法律に違反している企業と考えられます。

ちなみに、健康保険や厚生年金などの保険料は、毎月の給料から天引きされるのが一般的です。つまり、自分の給料から保険料を支払うことになります。これでは「会社からのサポートではない!」と思う学生もいるかもしれませんが、実際にはそうとも言い切れません。というのも、給料から天引きされる金額は保険料の半分だけで、残りの半分は会社が負担してくれるからです。このため、社会保険も「社員向けサポートの一種」として福利厚生に記載されています。

いずれにしても、健康保険や厚生年金などの社会保険は用意されているのが当たり前の制度なので、就職先を検討する際の材料にはなりません

 

研修制度は誰のために用意されているのか?

続いては、福利厚生によく見られる「新人研修」や「語学研修」などに代表される研修制度について紹介します。これらは法定外福利に分類されるもので、法律に定められているものではなく、会社が独自に用意しているサポート制度となります。

これらの研修は、「個々のビジネス能力を高めるため」に実施されるものであり、また「社員教育として必要だから」という会社側の都合で実施されるものでもあります。

たとえば、新人研修ではビジネスマナーや仕事で必要になる専門知識、経費の申請方法などを教えてくれます。これらの知識がないと、ビジネスパーソンとして最低限のことすらできなくなってしまいます。よって、新人研修は個人(新入社員)にとっても、会社にとっても必要な制度といえます。

もちろん、新人研修の内容は会社ごとにマチマチです。半年間ほどかけて入念に研修を行ってくれる会社もあれば、新人研修を3日程度で終了し、あとはOJTで仕事の進め方を教えていく、という会社もあります。

OJT(On-the-Job Training)とは、実際に業務に就きながら仕事を教えていく研修制度のこと。研修制度というと大袈裟に聞こえますが、要は現場で仕事を行いながら、少しずつ業務の手順や知識を覚えていく、というものでしかありません。もっと噛み砕いて言うと、「新しいバイトを始めたときに、先輩や店長がそのつど手本を見せながら仕事の進め方を教えてくれる」のと同じような状況です。これを難しい言葉で言い換えると、OJTになります。

研修制度は、その種類も内容も会社によって千差万別で、実際に入社してみないと分からない部分が大半を占めます。研修制度を多く用意している会社は、それだけ社員教育に熱心な会社ともいえますが、一概にそうとは言い切れないケースもあります。

研修制度の詳細は、会社説明会でよく話を聞き、会社案内をよく読んで、参考にするしかありません。とはいえ、これらの話は相当に美化されている場合が多いので、そのまま鵜呑みにすることはできません。OB訪問・OG訪問で先輩の本音を聞き出すのが最も確実で、実状を探りやすい、といえるでしょう。

 

保養所の有無は重視すべきポイントになるか?

最後に、保養所について紹介しておきます。保養所とは、社員が格安で泊まれる宿泊施設のことです。会社によっては、無料で宿泊できる保養所を用意している場合もあります。

「保養所があって便利だな」と実感できるのは旅行に出かけるときです。たとえば、札幌に旅行する場合を考えてみましょう。この場合、札幌に会社の保養所があれば、宿代を格安に済ませることができます。保養所の相場は、おおよそ1泊あたり0~2,000円くらいなので、手軽に旅行に出かけることができます。

ただし、宿泊施設といっても、いわゆる旅館やホテルなどではなく、コンドミニアム形式の施設が大半を占めます。つまり、キッチン付きの部屋だけが用意されており、食事は自分で作る、もしくは外食する、という形式になります。

※1泊2食付きで5,000円前後の保養所になっている場合もあります。

旅行好きの人にとって保養所は有り難い存在といえますが、それでも利用する頻度は年に数回しかありません。保養所が用意されていても、「数年に1回しか利用しない」もしくは「1回も利用したことがない」という社員は沢山います。よって、保養所の有無をあまり重視する必要はありません

それよりも「給料が多い/少ない」の方を重視すべきです。たとえば、以下のような2つの会社を比較した場合、どちらに就職したほうが充実した人生を過ごせると思いますか?

 (A)全国各地に保養所がある、年収は500万円
 (B)保養所は1つもない、年収は600万円

この答えは、考えるまでもなく(B)の会社です。年収が100万円も多いのであれば、少しくらい宿代が高くなっても何も問題はありません。むしろ、旅館やホテルを自由に選べるぶんだけ、思う存分に旅行を満喫できます。一方、(A)の会社で保養所を利用する場合は、行先(宿泊地)が限定されてしまいますし、「食事をどうするか?」も自分で考えなければなりません。

こういった観点から見ると、保養所の有無(多い or 少ない)は就職先を決める材料にはなり得ません。「よく行く場所にあると少し助かる」といった程度の話でしかなく、無視しても特に問題はないと思われます。

 

次回は、ここで紹介したもの以外の福利厚生について見ていきます。社員旅行やバーベキュー大会など、楽しそうなイベントを用意している会社もありますが、そこには「意外な落とし穴」があることを忘れてはいけません。

 

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