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就職活動における人事部と学生

学歴フィルターは本当に必要なのか? 学生と人事部の葛藤

学歴フィルターにうなだれるイメージ

前回の記事でも紹介した学歴フィルター。大学名だけを頼りに学生を振るい落とす選考方法のため、「偏差値の高い大学」に通っていない学生からは「あまりにも、ひどい…」と悪評を集めています。

では、人事部の立場から見ると、学歴フィルターはどのように理解されているのでしょう。日本ならではの選考方法ともいえる学歴フィルターですが、学生と人事部の思いは必ずしも正反対とは限りません。今回は、学歴フィルターの在り方について考えていきましょう。

 

学歴フィルターは、こんな場面で活用されている

学歴フィルターとは、エントリーしてきた学生の「志望動機」や「人柄」、「潜在能力」などを一切考慮しないで、大学名だけを基準に絞り込み行う選考方法です。特に、膨大な数の応募が集まる大企業、人気企業では、エントリーシート(ES)で書類選考を行う際に「学歴フィルターが利用されているのでは?」と噂されています。

そのほか、会社説明会の申し込みにも「学歴フィルターが存在する?」と疑われる場合があります。たとえば、以下のようなケースが学歴フィルターの一種になると考えられます。

・大学名に応じて案内メールの配信日が違う

「偏差値の高い大学」には早めに案内メールを出し、その後、数日経ってから「偏差値の低い大学」に案内メールを出す方法。学歴が高い学生は、席数に余裕がある時期から優先的に申し込みを行えます。一方、学歴が低い学生は、席数がある程度埋まった時点で申し込みを行うため、すぐに満席になってしまい、会社説明会に参加することすら難しくなります。

・大学名に応じて確保されている席数が違う

「偏差値の高い大学」と「偏差値の低い大学」で席数を変化させる受付方法です。有名大学に通うA君には「受付中」と表示されるのに、偏差値の低い大学に通うB君には「満席」と表示される。このような理不尽な状況が確認されるケースもあります。

 

昔から活用されている学歴フィルター

学歴フィルターは、ここ数年で顕著化したものではなく、十年以上前から普通に行われてきた選考方法です。

今でこそ就職活動の主流はインターネットになっていますが、それ以前は「学生に会社情報を郵送」→「電話やハガキで申し込み」という流れが就職活動の主流でした。この場合、「どの学生に会社情報を郵送するか?」が学歴フィルターになります。

要は、「学歴の高い学生」にだけ情報誌や入社案内を送付し、「学歴の低い学生」には特にアプローチしない、というのが一昔前の一般的な採用活動でした。

現在はインターネットに採用情報が公開されているため、誰でも自由に情報を閲覧できます。もちろん、インターネットから応募を行うことも可能です。一見すると、全員にチャンスが与えられているように見えますが、これは単なる建前でしかありません。その後の処理方法に細工を施すことで、依然として「大学名」が大きな意味を持つ存在であることに変わりはないのです。

つまり、「学歴フィルター」は形を変えながら現在も存続されていることになります。

 

学生の絞り込みに、ある意味、効果的な学歴フィルター

前回の記事でも紹介したように、膨大な数のエントリーが集まる大企業、人気企業では、何らかの方法で学生を絞り込まないと、その後の採用活動を進められなくなってしまいます。届いたエントリーシート全てに目を通すのは、現実的に考えて不可能な場合が多いのです。

このような場合に、最も効率よく学生を絞り込めるのが学歴フィルターです。あらかじめボーダーラインを決めておき、「それ以上の大学は残す」、「それ以下の大学は落とす」と機械的に処理していけば、短時間で学生を絞り込むことができます。

学力テストなどの筆記試験も効率よく学生を絞り込める手法といえますが、そのためには試験会場を用意し、採点を行わなければいけません。マークシート式の試験を実施するにしても、それなりの手間と費用を要します。であれば、4年前の大学入試時の学力を選考基準にしてしまおう、というのが学歴フィルターの基本的な考え方です。

もちろん、人事部の方も「大学名がすべて」とは考えていません。学歴が低くてもビジネス能力が高い人もいれば、学歴が高いのに全く使えない人もいる。そんなことは、過去の経験から百も承知です。

では一体、どうやって、この膨大な数のエントリーを処理したらよいのか? 結局のところ、学歴フィルター以外に効率のよい方法が見つからない、というのが人事部の本音です。

ちなみに、人事部では「学歴フィルター」のことを「ターゲット校」と呼んでいる場合もあります。単に言葉のニュアンスが違うだけで、その意味に大差はありません。要は「採用したい大学」「軽視してもよい大学」を区別しているにすぎません。

偏差値の低い大学に通う学生からすると、「あまりにも、ひどい…」と思われる学歴フィルターですが、人事部も好き好んで学歴フィルターを使っている訳ではありません。他によい方法が見つからないので、仕方なく学歴フィルターを使い続けている。それが現状なのです。

 

最近は、学歴フィルターを廃止する傾向も・・・

とはいえ、学歴フィルターにより「優秀な人材」を見逃してしまう可能性も否定できません。そこで、最近は、学歴フィルターを廃止しようと努力している企業も増えてきているようです。

一昔前は、与えられた仕事を効率よくテキパキとこなし、物事の1・2・3を教えたら4・5・6を自然と理解してくれる、そんな人材が優秀とされていました。しかし、時代は変わりました。単純作業はパソコンが自動処理してくれますし、今までと同じやり方では先が見えない業界も沢山あります。にもかかわらず、従来どおりの方法で採用活動を進めてよいのか?

もっとユニークな発想ができる人、もしくは1~6で終わるのではなく、7・8・9・10まで理解できるスペシャリスト、そんな人材を確保したいと考える企業が増えてきています。また、若者の考え方が変化し、2~3年で退職してしまう人が多いため、長く働いてくれる人材を求める企業もあります。

こういった人材を確保するには、学歴フィルターの在り方を見直さなければいけません。手軽な方法としては、大学名より学部、学科を優先する住所や出身地を重視する、といった選考方法が考えられます。

どのような選考方法(フィルター)を使うにせよ、膨大な数の応募が集まる大企業、人気企業では、学生を効率よく絞り込む何らかの方法を使用せざるを得えません。もちろん、必要以上に応募者が集まってしまう現象の背景には、大学生の就職活動の進め方にも問題があります。そこで、次回は「応募者数が増えてしまう原因」について紹介していきます。

 

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