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就職活動における人事部と学生

「会社説明会で質問すると就活が有利になる」という話は都市伝説!

空回りするイメージ

新卒の就職活動に関するWebサイトや書籍を見ていると、「会社説明会では積極的に質問すること。そうすることで自身をアピールでき、就活が有利になる」と書かれている場合があります。また、「質問すべき内容」を具体的に紹介しているWebサイトもあります。
でも、これって本当でしょうか? 結論から先に述べてしまうと、「質問すれば有利になる」というケースは滅多にありません。ほとんど都市伝説のような話です。にもかかわらず、「質問しなければ」と盲信している学生が少なからずいるようです。今回は、会社説明会で質問することの意義について詳しく紹介していきます。

 

質問の時間は、あくまで「質問を受け付ける時間」でしかない

会社説明会では、最後に「質問の時間」が設けられてるのが普通です。この時間が来ると「待ってました」と言わんばかりの勢いで挙手して、必死に質問をする学生がいます。もちろん、質問すること自体は何ら悪いことではありません。しかし、「自分をアピールして少しでも就活を有利にしよう」という考えのもと質問しているのであれば、とんだ勘違い野郎と見られても仕方がありません。

「質問の時間」は、あくまで「質問を受け付ける時間」でしかありません。にもかかわらず、「質問の時間」を「自己アピールの場」と勘違いしているようでは、この先も空回りしながら就職活動を続けていくことになるでしょう。

Webサイトや会社案内をよく見て、会社説明会で話をよく聞き、「それでも不明な点があれば質問すればよい」というだけの話です。それ以上でも、それ以下でもありません。

企業が新製品や新サービスの発表会を行うときは、内容をひととおり説明した後に「質疑応答の時間」を設けるのが一般的です。こういった発表会の流れに倣って、新卒採用の会社説明会でも「質問の時間」を設けている場合が多くあります。要は、そこまで深く考えずに「質問の時間」を設けている企業が多いのです。

当然ながら、「質問したこと」を選考材料にしようと考えている企業は滅多にありません。誰が言い出したのか知りませんが、「質問すれば有利になる」という話は、ほとんど都市伝説のような存在です。

 

そもそも「質問」は選考に寄与するのか?

会社説明会を行う人事部の立場からすると、「誰がどんな質問をしたか?」をいちいち覚えていられるほど余裕はありません。それよりも、「質問に対して的確に答えること」(印象を悪くする余計な一言を言わないこと)に気が向いている人が多いといえます。

それ以前の問題として、学生が自分の氏名を名乗らなければ、誰が質問したのかすら把握できません。仮に氏名を名乗ったとしても、それを人事部の人がメモしていなければ、何も記録は残りません。もちろん、選考に寄与することもありません。

新卒採用の選考は、エントリーシート筆記試験面接、さらにはリクルーターとの面談を判断基準にするのが基本です。そして、それぞれを点数化するなどして、「採用する学生」と「採用しない学生」を振り分けていきます。そこに「質問をした学生」という要素を加えるとなると、それだけ選考基準が複雑になってしまいます。

「筆記テスト」や「面接」は応募者全員に課せられる選考手段ですが、「質問」は必ずしも学生全員が行うものではありません。むしろ、質問をしなかった学生の方が圧倒的に多いといえます。よって、質問した学生に「どう加点すべきか?」(もしくはどう減点すべきか?)の基準を設定している企業はほとんどありません。選考基準になっていないのであれば、「質問したこと」で有利(または不利)になることもありません

 

それでも「質問すべき」と言われる理由は?

では、なぜ「質問すべき」という噂が広まっているのでしょうか? その答えは、ごく稀に選考に影響する可能性があるからです。

たとえば、人事部の人が「こいつ、よく考えているな」と感心するような質問をした学生がいたとします。その学生は見た目にインパクトがあり、人事部の人も自然と顔を覚えてしまうくらい印象深い学生でした。

後日、この学生が無事に筆記試験を通過し、面接に挑んだときに「この人はあの質問をした学生だ」と面接官の記憶に残っていれば、初めから良い印象で面接を進めてもらえます。当然、面接結果が高得点になる場合もあるでしょう。このような場合、「質問したことで優位になった」といえるかもしれません。

でも、よく考えてみてください。「会社説明会の会場にいた人」と「面接官」が同じ人物で、しかも何週間、いや何ヵ月も先まで顔を覚えていてくれる。そんなケースがどれくらい実在するのでしょうか? 「絶対にない」とは言い切れませんが、かなり稀なケースであることは事実です。社員数の多い大企業になればなるほど、いっそう稀なケースになると思われます。

このように考えると、「質問すれば有利になる」という話はかなり現実味を欠いた話といえます。選考基準には設定されていないが、ごく稀に面接官の感情として有利(不利)に働く場合がある、という程度の話でしかありません。

よって、無理矢理、質問を考えてまで挙手する必要はありません。「聞きたいことがあれば聞く」というのが基本姿勢です。逆に、「下手な質問をするとマイナス評価を与えられるかも」と不安を抱く必要もありません。この場合も学生の名前をいちいちメモしている人事部はほとんどありません。だから、たぶん、選考が不利になることもありません。

 

どんな質問をすれば印象に残るか?

最後に、「どんな質問をすれば好印象を与えられるのか?」、もしくは「絶対にしてはいけない質問は何か?」について補足しておきます。こういった内容を掲載しているWebサイトもありますが、何を根拠にそう言っているのかは不明です。

というのも、同じ質問であっても人それぞれで捉え方が違うからです。たとえば、仕事の内容について質問した場合、「勉強熱心だな」と捉える人事部もいれば、「当たり前の質問だ」と捉える人事部もいます。企業の将来性ついて質問すれば、「そんなの俺にも分からないよ」と質問の良し悪しを判断する前に、どのように回答すべきか苦慮してしまう人事部もいるでしょう。

少し前にネットの掲示板で、「朝ごはんは何を食べてきましたか?」と会社説明会で質問した学生がいたと話題になりました。皆さんは、この質問をどう捉えますか?

普通に考えると、「会社説明会で何を聞いているんだ。バカなのか、こいつは?」と思うかもしれません。でも、質問の意図を深読みしていくと、「朝ごはんをゆっくり食べられるくらいの余裕はありますか?」、「残業がキツくて出社ギリギリまで寝ていたりしませんか?」と遠回しに聞いている可能性もあります。そう考えると、意味深な質問です。

要は、質問された人の捉え方に応じて、「良い質問にも悪い質問にもなる」ということです。もちろん、前述したように「質問したこと」で選考が有利(または不利)になるケースは滅多にありません。

「朝ごはんは何を食べてきましたか?」くらいインパクトのある質問をすれば、「勇気のある学生」として覚えてくれるかもしれません。会場の雰囲気を和ませる意味でも、ユニークな存在に映るでしょう。そうではない一般的な質問をしても、特に印象は残らず、忘れ去られていくのが普通です。

 

次回は、「エントリーシートは、いつ、どのような場面で利用されるのか?」について紹介します。

 

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