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就職活動における人事部と学生

合同説明会に出展する大企業(人気企業)の本当の目的は?

大人の事情を表すイメージ

前回の記事で、合同説明会は「中小企業が学生を集めるために利用する」と紹介しました。とはいえ、大企業人気企業が合同説明会に出展している場合もあります。こういった企業はどのような目的で合同説明会に出展しているのでしょうか?
今回は、合同説明会に出展する大企業、人気企業の本当の目的について紹介していきます。これから合同説明会に参加しようとしている学生は、ぜひ一読しておいてください。

 

合同説明会の主催者の思惑

電車の中吊り広告を見ていると、誰もが知っている有名企業がズラリと並んだ合同説明会の広告を見かけることがあります。こういった企業を目当てに合同説明会への参加を決める学生もいるでしょう。

では、これらの企業は「どのような目的」で合同説明会に出展しているのでしょうか?

以前の記事でも紹介したように、大企業や人気企業は、放っておいても膨大な数の応募(エントリー)が集まります。わざわざ合同説明会に出展しなくても、求人サイトだけで十分な数の学生を集められるのです。にもかかわらず、合同説明会に出展する。そこには主催者の思惑が大きく絡んでいます。

合同説明会を開催する主催者(リクルートやマイナビなど)は、「できるだけ多くの学生に来場してもらいたい」と考えるのが普通です。多くの学生が来れば、ブースに足を運ぶ学生の数も増え、中小企業の人事部も喜んでくれる、ひいては来年の出展にもつながる(来年も出展料を稼げる)。このような考えのもと、合同説明会を開催している主催者は少なくありません。

しかし、中小企業ばかりを集めた合同説明会を開催しても学生は興味を示してくれません。そこで、大企業や人気企業にも合同説明会に出展してもらい、こういった企業の名前を借りて多くの学生を集めているのです。

口の悪い表現で言い換えれば、人気企業を「客寄せパンダ」にして学生を集め、その「おこぼれ」を中小企業にまわしている、というのが合同説明会の構図です。

 

大企業、人気企業はなぜ合同説明会に出展するのか?

では、大企業や人気企業は、なぜ合同説明会に出展するのでしょうか? 何度も述べているように、こういった企業は求人サイトだけでも十分な数の学生を集められます。出展料を払ってまで、わざわざ合同説明会に参画する理由は見当たりません。

中には、「求人サイトを見た学生だけでなく、より幅広い学生に応募してもらいたい。そのためには多少の出費もやむを得ない」と考える良心的な大企業もあるでしょう。しかし、そうではないケースも沢山あります。

実は、知名度のある大企業や人気企業は、合同説明会に無料で出展しているケースが少なくありません。多くの学生に来場してもらうために、主催者が「無料でもいいから、ぜひ出展してください」とお願いする訳です。場合によっては、「求人サイトの掲載料を割引するので、合同説明会にも出展してください」と交渉するケースもあります。

要するに、大企業や人気企業は、金銭的な負担をほとんど強いられることなく、合同説明会に出展している場合が多いのです。むしろ、採用活動の経費削減になる場合すらあるくらいです。主催者は、中小企業に出展料を支払ってもらい利益を得る、その一方で、学生を集めてくれる大企業や人気企業には無料で出展させてあげる。このような裏事情の下、合同説明会が成立しているケースは意外と多くあります。

 

大企業、人気企業の話を聞いても意味がない!?

先ほど説明した裏事情を知っていれば、大企業や人気企業のブースを訪れても無駄足に終わってしまう可能性が高いことは容易に想像できます。無料で出展している大企業、人気企業は、そもそも「合同説明会で学生を集めよう」という気がないのです。

もちろん、合同説明会に出展する以上は、大企業であっても普通に会社説明会を行います。質疑応答やアンケートが実施される場合もあるでしょう。でも、ただそれだけの話でしかありません。最終的に「興味のある方は求人サイトから応募してください」となった場合、説明会に「参加した学生」も「参加していない学生」もスタートラインは同じです。合同説明会で話を聞いたからといって、他の学生より優位に立てる訳ではありません。

であれば、自分の知らない中小企業の話を聞いた方が有意義に時間を過ごせます。興味のある業界の話を数多く聞くことで勉強にもなりますし、もしかしたら魅力的な企業が見つかり、そのまま試験や面接へつながる可能性も十分にあり得ます。大企業や人気企業の話が役に立つのは、その企業が本命であった場合くらいです。「有名だから、なんとくなく…」という考えで話を聞いても時間の無駄にしかなりません。

 

マーケティングの場として合同説明会が利用される場合も

大企業、人気企業の中には、採用活動とは異なる別の目的で合同説明会に出展している企業もあるようです。もっと具体的にいうと、マーケティングを目的に合同説明会へ出展している企業もあります。

何千人、何万人という人々が集まるイベントは、企業にとって格好のPRの場となります。会社説明をしながら、さりげなく自社の商品やサービスをPRできれば、それなりの宣伝効果を得られます。しかも、イベント(合同説明会)への出展料が無料となれば、「これを利用しない手はない」と考える企業があっても不思議はありません。合同説明会に来場する学生は22歳前後の若者に限定されるため、ターゲットが明確なこともマーケティングに好都合な条件といえます。

たとえば、旅行代理店が合同説明会に出展したとしましょう。この場合、会場に集まる学生は約1年後に卒業旅行を控えた、ある意味「お客様」とも呼べる存在になります。これほど明確なターゲットが集まる好都合なイベントは滅多にありません。

ここからは実話ではなく仮の話になりますが、ブースを訪れた学生に配るアンケート用紙に「卒業旅行で行きたい国は?」とか、「卒業旅行の予算は?」といった質問を紛れ込ませておけば、アンケート結果がツアープランを立案するときの貴重な資料になります。同様の調査をマーケティング会社などに依頼すると、何十万円もしくは百万円以上の費用が必要になります。でも、合同説明会なら無料です。

さすがに、これほど極端なマーケティング活動を行う企業は少ないと思われますが、それでも「本当は採用活動が目的ではない」というケースがないとは限りません。もちろん、建前としては「新卒採用のために出展している」と企業は説明します。

前回と今回の記事で紹介したように、合同説明会は大人の事情が複雑に入り組むイベントです。その裏事情をよく学んでおけば、「合同説明会ではどのように行動すべきか?」が自然と見えてくると思います。

もちろん、就職活動の一環として、合同説明会に参加するのは何ら悪いことではありません。役に立つ話を聞けたり、知名度がなくても優良な企業に出会えたりする場合もあります。大人(求人情報を扱う企業)が敷いたレールに無意識に従うのではなく、その裏事情を踏まえて行動することが大切です。

 

次回は、会社説明会で質問することに「どのような意義があるか?」について紹介していきます。

 

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